注目ベンチャー紹介:Ventiva

Written by Hiroaki Kawada

今回の注目ベンチャーの紹介はVentivaです。
Ventivaは、電界で空気を動かす仕組みにより羽根のない冷却を実現する「Ionic Cooling Engine(ICE)」を開発しており、厚さ3mm以下で静音かつ振動ゼロの冷却を可能にすつ電子部品のスタートアップです。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

Ventiva 

https://ventiva.com/

サービス/プロダクト概要

  • Ventivaは「Ionic Cooling Engine(ICE)」という、ファンを使わない冷却デバイスを開発している
  • 電界で空気を動かす仕組みを用いることで、従来のファンのような羽根が不要。これにより、3mm以下の薄さで、静音かつ振動のない冷却を実現する
Fig.1 ICEのイメージ画像

特徴/提供価値

  • 薄型化:ICEモジュールは厚さ3mm以下で、超薄型PCに適応可能
  • 静音性:騒音レベルは<15dBで、ほぼ無音
  • 冷却能力:従来ファン並みの効率を実現し、同クラスの薄型冷却技術(AirJetなど)より高い冷却性能
  • 設計自由度:CPU直上にファンを置かなくても良いため、PCBの矩形化や大容量バッテリー搭載が可能
  • Ventiva ICEの大きな特徴は、Electro-Hydro-Dynamic (EHD) という原理を応用している点
    仕組みを順を追って説明すると:
    • 高電界をかけて空気中にイオンを発生させる
    • 発生したイオンを電極間で加速する
    • 移動するイオンが周囲の中性分子を引きずり、一緒に動かす
    • その結果、羽根を回さずに空気の流れ(イオン風)が生ま
    • これにより、回転体を使わずに風を発生できる
Fig.2 ICEの原理
Fig.3 Conventional vs. ICE-Based Laptop Design

*CPU,NPU近傍の熱を拡散・分散する役割は別部材である ベイパーチャンバー(Vapor Chamber) やヒートシンク等が担う。ICEはそこに空気の流れを与えることで効率的に放熱をする部材であり、この送風機能の省スペース化による設計自由度の向上ICEはを謡っている。ベイパーチャンバーも自社で設計しており、ICE向けのの最適な構造を検討している

ビジネスモデル

  • VentivaはPC OEM((Original Equipment Manufacturer))・ODM((Original Design Manufacturer))向けに冷却モジュールを提供
  • ICEモジュールはスケーラブルで、複数本を並列に使うことでTDP(Thermal Design Power)の異なる製品にも対応
  • 最初の搭載製品はラップトップPCでHPやDellの次世代ハイエンド品絵の搭載を協議中
  • 将来的には冷却能力を40W→100W超→150Wとロードマップを広げ、PCだけでなくタブレット、AR/VR機器、AIアクセラレータカードなどにも展開予定

市場動向・なぜこの会社なのか?

  • ラップトップPC市場は「薄型化・高性能化」が続いており、発熱は増加傾向
  • 具体的にはMicrosoft の Copilot+ PCのようにNPU搭載機種も増えるので消費電力、発熱量、搭載部品の増加は予測できる
  • 従来ファンは厚さ・騒音・設計制約が限界に近づいている
  • その中でVentivaは、ファンレスでファン並みの冷却を実現する唯一の実績ある技術を持っており、AppleやDellのような“薄型+静音”を求めるプレミアムPC市場にフィットする

顧客・競合・パートナー

  • 顧客(候補含む): OEM-Lenovo、HP、Microsoft Surface、ASUS、Acer、Apple
  • パートナー(顧客含む):ODM-Quanta(台)、Compal(台)、Wistron(台)、Pegatron(台)、部材供給-TOPPAN::ICE向け台エッチングパーツの提案中
  • 競合:従来のファンメーカー-Nidec(日)、 MinebeaMitdumi(日)、Sunon(台)、DeltaElectoronics(台)、AVC(中)、Cooler Master(中)
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

こちらの記事に対するお問い合わせやMTGの依頼などはこちらのアドレスからお気軽にご連絡ください。
info@tgvp.vc
TGVPは米国を中心としたスタートアップ企業とTOPPANグループの連携を推進しております。