注目ベンチャー紹介:Ubicept

Written by Hiroaki Kawada

今回の注目ベンチャーの紹介はUbiceptです。
Ubiceptは、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)センサー向けに、画像を生成せず“知覚情報”を直接取り出すソフトウェアを開発するスタートアップです
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

Ubicept 

https://www.ubicept.com/

サービス/プロダクト概要

  • SPAD向けのソフトウェアを開発。定義としてISP(Image Signal Processor)ではない
  • SPAD(Single Photon Avalanche Diode)とは1個の光子(フォトン)でも検出できる超高感度な光センサーでSonyやCanonなどが開発・販売している
  • Ubiceptは「Photon Stream Processing(フォトンストリーム処理)」という新技術で、画像を生成せずに光子データから直接“意味”を抽出する
  • Photon Stream Processingは図1のようにピクセルごとの信号をセンサ近傍で取得・抽出・意味(動き、速度、距離など)変換をおこなう
図1:Photon Stream Processingのイメージ

特徴/提供価値

  • 光子の到達時間・位置情報をそのままリアルタイム処理し、動き・深度・存在の知覚データを出力するソフトウェアを提供
  • SPADセンサーと独自のソフトウェアにより、暗所や高速動作でも正確な知覚情報をリアルタイムに取得できる
  • これにより超低遅延・低電力・小型化を実現
  • 自動運転、AR/VR、監視、医療など、暗所(≒高感度)や高速動作が求められる領域に強み
図2:Photon Stream Processingの有無による取得データイメージ

ビジネスモデル

  • ソフトウェア提供と特許ライセンス
  • SPADセンサー自体の製造は外部メーカー(例:STMicro、Sonyなど)に依存

市場動向・なぜこの会社なのか?

  • カメラ市場は、従来のISP中心から「イベントベース視覚」「意味抽出」へとシフトしている
  • 既存技術(ISP、ニューロモルフィック)は暗所・高速動作で限界がある(*用途ごとに諸説ある)というのがUbiceptのコンセプトの根幹
  • UbiceptはSPADの欠点(飽和、電力消費、クロストーク)に対して、ソフトウェア的に補完・最適化を実現
  • 画像を作らない「フレームレス視覚」は次世代のセンシングとして注目度が高まっている
  • SPAD向けのソフトウェアに特化した競合が少ない

顧客・競合・パートナー

  • 顧客:SPADセンサーメーカー(STMicro, ams OSRAM, Onsemi), 自動車OEM, ARデバイスメーカー
  • パートナー(顧客候補含む):Canon, BMW, Sony 
  • 競合(パートナーにもなりえる):SPADセンサーメーカの内製ソフトウェア
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

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