注目ベンチャー紹介:TinyFish

Written by Yuhei Yano

今回の注目ベンチャーの紹介はTinyFishです。

AI Agentがインターネット上のWebサイトを横断的に操作・検索・抽出・実行するためのインフラを提供するスタートアップです。

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

TinyFish

https://www.tinyfish.ai/

サービス/プロダクト概要

同社は、自社を単なるWebスクレイピング企業ではなく、「AIをWeb全体に接続するExecution Infrastructure」として位置付けている。

従来のAIモデルは、学習済みデータや単発検索に依存していたため、

  • ログインが必要なサイト
  • JavaScript主体の動的サイト
  • マルチステップの業務フロー
  • リアルタイム更新される情報

などへの対応に限界があった。TinyFishは、

  • Search
  • Fetch
  • Browser
  • Agent

の4レイヤーを統合することで、AI Agentが人間のようにWeb上で業務を実行できる環境を提供している。

例えば、

  • 競合サイトの価格・キャンペーン監視
  • 海外規制変更のモニタリング
  • サプライチェーンリスク分析
  • 金融機関向けKYC補助
  • 自動車業界のリコール関連調査

などを、AI Agentが継続的に実行できる。


画像出所:同社Webページ


特徴/提供価値

(1)「Webを読む」ではなく「Webで仕事をする」

TinyFishの本質は、Web検索やスクレイピングではない。同社が狙うのは、「人間がブラウザ上で行っている業務そのもの」の自動化。

従来型のスクレイピングツールは、

  • HTML取得
  • CSS selector抽出
  • 静的データ取得

が中心だった。

一方TinyFishは、

  • ログイン
  • フォーム入力
  • PDF閲覧
  • マルチページ遷移
  • ドキュメントダウンロード
  • 動的サイト操作

まで含めて実行できる。

(2)独自ブラウザによる“Agent Native”設計

TinyFishの最大の技術的差別化は、「Agent利用を前提に独自ブラウザを構築している」点にある。

これにより、

  • anti-bot detection
  • fingerprinting
  • session persistence
  • CAPTCHA対応
  • JavaScript injection

などを低レイヤーで制御できる。

これは単なるPlaywrightラッパーではなく、“AI Agent向けBrowser Runtime”に近い思想である。

(3)Deterministic Workflow

多くのLLM Agentは、「毎回AIが考えて動く」ため、

  • 結果が安定しない
  • 再現性が低い
  • エラー解析が難しい

という問題を抱えている。

TinyFishは、

  • codified execution
  • structured workflow
  • deterministic execution

を重視しており、「同じ入力に対して、同じ構造化結果を返す」ことを重要な差別化ポイントとしている。

これは特に、

  • 金融
  • 製造
  • 保険
  • 規制対応

など、監査性・再現性が重要な業界で強みになる。

(4) “Primary Source Intelligence Layer”

TinyFishは、既存システムを置き換えるのではなく、「一次ソース情報を継続的に監視し、既存業務に供給するレイヤー」として位置付けられている。

例えば、

  • SAP
  • Coupa
  • Salesforce
  • GRC
  • KYC
  • ESG
  • Pricing Systems

などと接続し、リアルタイムの外部変化を取り込む役割を果たす。

ビジネスモデル

TinyFishは、クレジットベースの従量課金モデルを採用している。

  • Search
  • Fetch

のような軽量操作は低コストで、

  • multi-step navigation
  • login workflow
  • human-like interaction

など、複雑な操作ほど多くのcreditを消費する。

特徴的なのは、「人件費」ではなく「AI execution cost」に置き換えるモデルである点。

特にBPO領域では、

  • 人間オペレーター
  • リサーチアナリスト
  • 競合調査チーム

などが行っている業務を、Agent executionに置き換えることを狙っている。そのためTinyFishは、

単なるSaaSではなく、“Agent-as-a-Service Infrastructure”に近いポジションにいる。

市場動向・なぜこの会社なのか?

AI Agent市場の急拡大

2025年以降、

  • OpenAI Operator
  • Anthropic Claude + MCP
  • Google Gemini Computer Use

など、“AIがWebを操作する”方向性が急速に加速している。

一方で、frontier model単体では、

  • anti-bot
  • browser state
  • workflow reliability
  • enterprise governance

などに限界がある。ここで重要になるのが、「AIが現実のWeb上で安定して仕事をするためのExecution Layer」である。

TinyFishは、このレイヤーを狙っている。

なぜ今なのか?

企業の現場には、依然として大量の“非API業務”が存在する。

例えば、

  • 官公庁ポータル
  • 競合価格調査
  • 海外規制確認
  • サプライヤー監視
  • KYC調査
  • リコール分析

などは、多くが未だに「人間がブラウザで作業」している。

TinyFishは、「APIが存在しない世界を、AI Agentが操作可能にする」ことで、この巨大な業務領域を取り込もうとしている。

日本市場との相性

特に日本市場との相性は良い。

理由は、

  • 大企業比率が高い
  • SI依存が強い
  • BPO比率が高い
  • レガシー業務が多い
  • グローバル規制対応負荷が増大している

ためである。

顧客・競合・パートナー

  • 顧客:
    • TinyFishの主要ターゲットは、
      • 金融機関
      • 製造業
      • 総合商社
      • 保険
      • 小売・通信
      • 製薬
      などの大企業である。特に強いユースケースは、
      • 規制監視
      • サプライチェーン分析
      • 競合モニタリング
      • ESG/KYC
      • リスク検知
      など、“継続監視型インテリジェンス”領域である。
  • 競合:
    • Web Data Layer
      • Firecrawl
      • Crawl4AI
      → 「Webを読む」領域Browser Infrastructure
      • Browserbase
      • Browserless
      → ブラウザ実行基盤Agent SDK
      • Browser Use
      • Stagehand
      → 開発者向けAgentフレームワークFrontier Model
      • OpenAI
      • Anthropic
      • Google
      → reasoning layerTinyFishは、その中間に位置し、“Enterprise Web Execution Infrastructure”を狙っている
  • リスク
    • 最大のリスクは、「frontier modelの進化」である。OpenAIやAnthropicが、
      • browser runtime
      • workflow memory
      • retries
      • enterprise integrations
      まで内製化した場合、TinyFishの価値は圧縮される可能性がある。そのため、TinyFishが長期的に生き残るには、
      • execution data
      • anti-bot network
      • enterprise integrations
      • vertical workflows
      などを蓄積し、「単なるLLM wrapperではない」状態まで進化できるかが鍵となる。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

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