注目ベンチャー紹介:Synthesize Bio

Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はSynthesizeBioです。
Generative Genomics(生成的ゲノミクス)」を掲げる米国シアトル発のスタートアップです。
SynthesizeBio
サービス/プロダクト概要
- GEM-1(Generate ExpressionModel-1)は、世界中で公開されている数十万件規模のRNAシークエンスデータを学習し、細胞種、組織、疾患、薬剤、遺伝子改変などの条件情報(メタデータ)から、将来得られる遺伝子発現プロファイルをAIで生成・予測する基盤モデル。
- 「もしこの細胞にこの薬剤を投与したら、どの遺伝子が上がり、どの遺伝子が下がるのか」を実験前に予測する、生物学版の生成AI。

特徴/提供価値
(1)Virtual Cellとは異なるアプローチ
・近年、多くのAI創薬企業が「Virtual Cell(仮想細胞)」や「Digital Twin」を掲げている。
・しかしSynthesize Bioは、自社をそれらとは異なるカテゴリーと位置付けている。
・Virtual Cell系企業は、特定細胞や特定疾患のシミュレーションを行うケースが多い。
一方でSynthesize Bioは、
- がん
- 免疫
- 神経
- 肝臓
- 単一細胞
- bulk RNA
などを横断して学習した「汎用生物学モデル」を目指している。
これはChatGPTが特定業界向けではなく、インターネット全体を学習したFoundation Modelであることに近い。
(2)RNA版GPTというポジショニング
GEM-1は約47万サンプル以上のRNA-seqデータを学習している。
この膨大なRNAコーパスを用いて、
- 遺伝子発現予測
- 薬剤応答予測
- バイオマーカー探索
- 疾患モデリング
を行う。言語モデルに例えると、
- 単語 = 遺伝子
- 文脈 = 細胞や薬剤条件
- 文章 = 発現プロファイル
であり、生物学を「言語」として学習している。
(3)モデルそのもののFDA承認を目指す
・Synthesize Bioがユニークなのは、「AIを使ったサービス企業」ではなく、「AIモデル企業」になろうとしている点である。
・同社は将来的に、“Model-as-a-Medical-Device”として、モデル自体のFDA承認を目指している。
・これは創薬支援ツールではなく、生物学的予測エンジンそのものを規制承認の対象にするという壮大な構想であり、実現には5年以上の時間を要すると考えられる。
ビジネスモデル
現時点では主に以下の3層での事業展開が想定される。
(1) SaaS/APIモデル
製薬企業やバイオテックに対して、
- 発現予測
- バイオマーカー探索
- 仮想コホート生成
をAPI経由で提供する。
(2)共同研究モデル
製薬企業や研究機関と共同で、
- 新規薬剤
- 遺伝子治療
- 細胞治療
の開発支援を行う。
(3)将来的な診断・規制領域
長期的には、
- LDT(Laboratory Developed Test)
- Companion Diagnostics
- FDA承認モデル
などへの発展を視野に入れている。
ここが一般的なAI創薬企業との最大の違いである。
市場動向・なぜこの会社なのか?
生物学は「データ不足」から「実験不足」の時代へ
近年のNGS技術の発展により、
- RNA-seq
- Single-cell RNA-seq
- Spatial Transcriptomics
などのデータ量は爆発的に増加している。
一方で問題となっているのは、
「実験できる条件数」
である。
例えば患者ごとの薬剤評価では、
- ヒトでは実験できない
- マウスではスループットが低い
- 臨床試験は高コスト
という制約が存在する。
Synthesize Bioは、この制約を生成AIによって突破しようとしている。
AI創薬の次の波
生物学は「データ不足」から「実験不足」の時代へ
近年のNGS技術の発展により、
- RNA-seq
- Single-cell RNA-seq
- Spatial Transcriptomics
などのデータ量は爆発的に増加している。
一方で問題となっているのは、
「実験できる条件数」
である。
例えば患者ごとの薬剤評価では、
- ヒトでは実験できない
- マウスではスループットが低い
- 臨床試験は高コスト
という制約が存在する。
Synthesize Bioは、この制約を生成AIによって突破しようとしている。
AI創薬の次の波
生物学は「データ不足」から「実験不足」の時代へ
近年のNGS技術の発展により、
- RNA-seq
- Single-cell RNA-seq
- Spatial Transcriptomics
などのデータ量は爆発的に増加している。一方で問題となっているのは、
「実験できる条件数」
である。
例えば患者ごとの薬剤評価では、
- ヒトでは実験できない
- マウスではスループットが低い
- 臨床試験は高コスト
という制約が存在する。
Synthesize Bioは、この制約を生成AIによって突破しようとしている。
第一世代:
AlphaFoldなどの構造予測
第二世代:
Insilico Medicineなどの分子生成
第三世代:
Synthesize Bioのような生物学基盤モデル
という進化が起きつつある。
同社は「実験そのものを予測する」という点で、AI創薬の次世代インフラになり得るポジションにいる。
顧客・競合・パートナー
- 顧客:
- 製薬企業
- バイオテック
- CRO/CDMO
- 病院
- 研究機関
- 競合:
- Recursion:大規模細胞画像とAIを活用した創薬企業。
- Owkin:マルチモーダル患者データを用いたAI創薬企業。
- Insilico Medicine:生成AIによるターゲット探索・分子設計企業。
- Isomorphic Labs:Google DeepMind発のAI創薬企業。
- パートナー:TBD
- TOPPANのInvivoid事業との組み合わせである。Invivoidは患者由来腫瘍を3D培養し、
- 共培養
- 免疫細胞導入
- 高スループット薬剤評価
- 実験条件の事前探索
- 仮想サンプル生成
- 発現予測