注目ベンチャー紹介:Sublime Systems

2023
6
18

Written by Yuhei Yano

今回の注目ベンチャーの紹介はSublime Systemsです。

同社は電解層を利用したCo2を排出しないセメント製造を行う会社です。

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は凸版印刷内のみです※

Sublime Systems

https://sublime-systems.com/

サービス/プロダクト概要

  • 電解層を利用したセメント「Sublime Sement」の開発・販売
画像出所:同社Webページ

特徴/提供価値

  • 一般的にセメント製造は石灰等の鉱物を1400°以上の巨大な“オーブン”で焼成して作られるが、同社は”オーブン”を”電解層”に置き換えることで、Co2排出量ゼロ、低温動作、熱焼成と同等の生産性・コストを実現するセメント原料を製造する
  • 電解槽ではPh勾配を利用してセメント原料を析出する。カルシウムを含む鉱物は正極で生成された酸と反応し、溶解したカルシウムイオンを形成する。正電荷を帯びたカルシウムイオンは、pH12.5以上になるまで負電極に向かって移動し、塩基と反応して固体の水酸化カルシウムCa(OH)2として析出する(Ca2+ + 2OH- → Ca(OH)₂(s), pH >12.5)
  • こうして得られた脱炭酸石灰と反応性シリカを混合し同社独自の「Sublime Sement」を製造する。Sublime Sementは作業性、硬化時間等のコンクリート製造に影響を与える特性についても既存品と遜色ないとされる(ラボプラント実証時)
  • 電解セメント製造はCo2排出ゼロ、低温動作であることに加え、あらゆるCaを含む鉱物を処理できることがメリットで、CO₂を含まない非炭酸カルシウム鉱物や低品位の石灰岩など、不純物を含む投入物から純度が高い石灰を分離できる(cf.通常の熱分解は石灰石の半分がCo2として失われる)
  • 現在はMA州本社近くでLabプラント月1t製造可能なシステムを稼働中である
  • 同社はMITのバッテリー科学者のDr.Leah Ellis、Dr. Yet-Ming Chiangが創業。Dr. Yet-Ming ChiangはMITの教授でありながらDesktop Metal等、数々の技術系VBの創業に携わるシリアルアントレプレナーでもある
画像出所:同社Webページ

ビジネスモデル

  • 脱炭素セメント「Sublime Cement」の販売

顧客課題・市場動向

  • セメント製造は世界のCo2排出量の8%を占めると言われる。焼成時に排出されたCo2をDAC、CCUS等で回収・貯留するのでなく、製造時にCo2を排出しない根本的な対策が求められている
  • グローバルのセメント大手は2050年までにネットゼロにを実現することをコミットメントしており、新たな技術開発が試みられている

顧客・競合・パートナー

  • セメント製造で既に排出されたCo2を吸着・再利用するCCUS的な手法として、硬化段階で水の代わりにCo2をセメントに組み込み貯蔵する方法があり、既に多くのVB企業が生まれている。CarbonCure, CarbonBuilt, Solidia Technologies, Blue Planet Systems(三菱商事が出資)など
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