注目ベンチャー紹介:Strella
2025
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04
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07

Written by Ryo Takei
今回の注目ベンチャーの紹介はStrellaです。
Strellaは、果物の熟度を予測するバイオセンサープラットフォームを開発しており、この技術によってサプライチェーン全体の食品廃棄を削減し、製品品質の向上を目指しています。
Strella
https://www.strellabiotech.com/
サービス/プロダクト概要
- 独自のバイオセンシング技術を活用し、果物の熟度をリアルタイムでモニタリングします。これにより保管中の果物の熟成を予測し、小売業者へ最適な出荷タイミングをスケジュールするなど収益性を高めるデータを提供します。

特徴・提供価値
- IoTバイオセンサーとAIによる予測モデルを組み合わせることで、鮮度・熟度を管理し、果物の腐敗を減らすセンシングプラットフォームを開発。これを利用し保管中の果物の熟成を予測し、小売業者へ最適な出荷タイミンングをスケジュールすることで食品廃棄物を減らすことができる。
- 同社はガスセンサを用いて、保管庫内のエチレン、二酸化炭素、酸素、温度・湿度をモニタリング、それらデータから果物の熟成度を予測している。リンゴなどの果物は、果物自体から発するエチレンガスによって追熟が進行、そのためエチレン濃度のモニタリングが重要だという。エチレンガスのセンサは独自の電気化学的バイオセンサを使用、受容体(酵素やタンパク質)の生体反応を電気信号に変換し、微量のエチレンガスを検知する仕組みである。
- さらに同社はバナナの追熟をAIで予測するシステムの開発にも現在注力している。バナナの追熟は、貯蔵庫・輸送サイクル間での不一致を生じ、追熟業者に多大な負担をもたらしている。そのためバナナの入荷状態と出荷予定を合わせるには、長年の熟練された経験が必要だとされている。同社の独自センサーは追熟室に設置され、追熟室のエチレン、二酸化炭素、酸素、温度・湿度の情報から、バナナの追熟段階を予測して追熟に関する推奨事項を提示することができる。


ビジネスモデル
- バイオセンサー機器とデータ解析ソフトを組み合わせた技術プラットフォームを出荷業者・小売業者へ提供、貯蔵庫の部屋数に応じたサブスクリプションモデル。
なぜ今この会社なのか
- 米国の食料のおよそ30~40%が毎年廃棄されていると推定されており、特に農産物はおよそ45%が消費者に届く前に廃棄されているという。同社は独自のバイオセンサー技術を組み合わせたデータ主導のアプローチを提供、農産物のサプライチェーンを最適化し、食品廃棄物の削減と収益性の向上を可能にする。
顧客・競合・パートナー
- 顧客:WalmartやCostcoなどの小売業者、DoleやDel Monteなどの青果物業者
- パートナー:エチレン阻害剤や収穫前の鮮度管理技術、鮮度保持コーティングなどを提供するAgTech企業 AgroFresh社(米国)と2023年に提携を発表