注目ベンチャー紹介:Star Catcher

Written by Ryo Takei

今回の注目ベンチャーの紹介はStar Catcherです。
Star Catcherは、米国フロリダ州を拠点とする宇宙インフラスタートアップです。軽量・低コストなフレネルレンズを用いて太陽エネルギーを集光し、そのエネルギーを宇宙空間で無線伝送することで、人工衛星へ電力を供給する「宇宙版送電網(Space Power Grid)」の構築を目指しています。

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

Star Catcher

https://www.star-catcher.com/

サービス/プロダクト概要

  • Star Catcherは、宇宙空間における電力供給ネットワークの構築を進めています。同社のシステムは、太陽エネルギーを収集・集光し、人工衛星へ送信する「Power Node」によって構成されます。
  • Power Nodeは、軽量かつ低コストなフレネルレンズを用いて太陽光を集光し、光ビームとしてクライアント衛星へ送信します。受電側は既存の太陽電池アレイをそのまま利用できるため、特別な受信装置や大幅な設計変更は不要です。これにより、衛星は搭載電源のみの場合と比べて最大2〜10倍の電力を利用でき、稼働時間の延長やミッションの高速化に加え、より高性能な次世代衛星の実現を可能にします。

出所:Star Catcher Webサイト

特徴・提供価値

  • 宇宙版「電力インフラ」の構築:現在の人工衛星は、それぞれが搭載する太陽光パネルとバッテリーによって電力を賄っている。Star Catcherは宇宙空間における拡張可能な電力インフラを構築することで、必要な場所に必要な電力を供給する「宇宙版送電網」の実現を目指している。
  • 衛星改修不要の電力供給:高度な光学システムと軽量なフレネルレンズを用いて太陽エネルギーを収集・集光し、光ビームとしてクライアント衛星へ送信する。受電側は既存の太陽電池アレイをそのまま利用できるため、特別な受信装置や衛星の改修を必要としない。また、高精度な追尾システムにより複数の衛星へ同時に電力を供給でき、宇宙空間における効率的かつ拡張性の高い電力インフラの展開を可能にする。
  • 衛星・通信・軌道データセンターの能力向上:衛星は搭載電源のみの場合と比べて最大2〜10倍の電力を利用できるようになり、顧客ペイロードの稼働率向上やミッション能力の拡張を実現する。また、大量の電力を必要とする軌道上データセンターや、近年注目されるDirect-to-Cell(D2C)衛星通信においても、高スループット通信や継続的な計算処理を支える基盤インフラとなることが期待されている。
  • 実証試験による技術検証の進展:Star Catcherは地上での電力伝送実証を段階的に進めており、2025年には長距離伝送試験や1.1kWの電力伝送実証に成功した。これは当時の光エネルギー伝送記録を上回る成果であり、商業規模の宇宙電力ネットワーク実現に向けた重要なマイルストーンとなっている。今後は軌道上での実証試験を予定しており、商用サービス開始に向けた開発を加速している。

NASAケネディ宇宙センターでの同社の電力伝送試験の様子(2025年11月)

ビジネスモデル

  • Star Catcherは、人工衛星向けの電力供給サービスを提供するモデルを展開している。自社で運用するPower Nodeを通じて電力を供給し、顧客は利用する電力に対して対価を支払う。主な顧客は商業衛星事業者や政府機関であり、収益源は電力供給契約(Power Purchase Agreement:PPA)および宇宙インフラ向けのエネルギー供給サービスとなる。
  • すでにStarcloud、Loft Orbital、Astro Digitalを含む複数の企業と計7件のPPAを締結しているほか、政府向け契約も獲得しており、将来的には軌道上電力ネットワークの利用料が主要な収益源となることを見込んでいる。

Starcloud社と軌道上データセンター展開加速に向けた戦略的提携を発表(2025年6月)

 

なぜ今この会社なのか

  • Starlinkをはじめとする衛星コンステレーションの拡大により、宇宙空間の電力需要は急速に増加している。一方で、現在の衛星は太陽光パネルやバッテリー容量による制約を受けており、利用可能な電力量が性能やミッション設計のボトルネックとなっている。
  • また、軌道上データセンターや宇宙製造、月面インフラなど、新たな宇宙産業の実現に向けては安定した電力供給基盤が不可欠である。打ち上げコストの低下と宇宙経済の拡大を背景に、通信インフラに続く次の宇宙インフラとして「電力ネットワーク」への注目が高まっている。
  • Star Catcherは、宇宙空間における電力の供給制約を解消し、衛星コンステレーション、軌道データセンター、月面インフラなどの新たな宇宙産業の成長を支える基盤インフラの構築を目指している。

顧客・競合・パートナー

  • 顧客:通信衛星事業者、地球観測衛星事業者、軌道上データセンター事業者、防衛・政府系宇宙機関など
  • 競合:Aetherflux(宇宙太陽光発電・電力伝送)、Overview Energy(宇宙向け無線電力伝送)、Reflect Orbital(宇宙ミラー)など
  • パートナー:Starcloud(軌道上データセンター)、Loft Orbital(衛星サービス)、Astro Digital(地球観測衛星)、NASA関連施設など

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