注目ベンチャー紹介:Spiritus

Written by Ryo Takei

今回の注目ベンチャーの紹介はSpiritusす。
Spiritusは、高電力需要の顧客向けに「カーボンマネジメントを組み込んだ統合エネルギーインフラ」を開発するクライメートテック企業です。米国ニューメキシコ州を拠点に、モジュール型DAC(Direct Air Capture)技術とクリーン電力供給を一体化したインフラを提供し、電力需要の増加と脱炭素の両立を支援します。

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

Spiritus

https://spiritus.com/

サービス/プロダクト概要

  • Spiritusは、独自のCO2吸着材(ソルベント)と熱効率の高いCO2回収プロセスを組み合わせたモジュール型DACシステム「Carbon Orchard™」を開発しています。ファンを使わず大気を受動的に取り込み、低温で吸着材を再生できる仕組みにより、CO2回収コストとエネルギー消費を大幅に削減。加えて、電力インフラと一体で設計することで、「クリーン電力」+「検証可能なCO2除去」を同時に提供できる点が特徴です。

Spiritus DAC facility concept

特徴・提供価値

  • 低コストでのカーボン除去:独自ソルベント(吸着材)を自社製造し、その製造コストを 1kgあたり10ドル未満 に抑えることで、DACにおける材料コストを大幅に低減。さらに、ファンを使わず大気を受動的に取り込む設計と、低温で吸着材を再生(CO2の脱離)できる高効率プロセスにより、エネルギー消費と運転コストを最小限に抑えることが可能となっている。これらの仕組みにより、従来1トンあたり数百〜1,000ドルとされてきたCO2除去コストの大幅な引き下げを目指している。
  • モジュール型インフラでスケール可能:設備はモジュール単位で拡張できるため、小規模からメガトン級施設まで柔軟に構築可能。産業拠点や電力施設近接での導入にも適している。
  • エネルギーインフラとCO2除去を統合:カーボンキャプチャにとどまらず、高効率天然ガス発電と点源回収、そして廃熱を利用した直接空気回収システム「Carbon Orchard™」を一体設計することで、顧客は電力需要の増加と長期的なカーボンネガティブ目標の両方を達成可能。

Spiritus Sorbent

ビジネスモデル

  • モジュール型DACユニットの提供・設置、およびCO2除去サービスの提供・クレジット販売
  • 電力インフラと統合した「カーボンネガティブエネルギー+CO2除去」のセット提供
  • 回収CO2の地中貯留や再利用のパートナーシップ展開

なぜ今この会社なのか

  • 気候目標達成には、排出削減と同時に大気中からCO2を除去する技術(CDR)が不可欠。一方、データセンターなど電力需要が急増する産業では、電力インフラそのものの脱炭素化が大きな課題。 Spiritusは、電力インフラとCO2除去を一体設計するというアプローチにより、近い将来の電力需要の伸びと、長期的なカーボンネガティブ目標の両立を実現する。

顧客・競合・パートナー

  • 顧客:データセンター、製造業、エネルギー企業など、CO2排出量の大きい産業プレイヤーやカーボンクレジットを必要とする企業・機関
  • 競合Climeworks, Carbon Engineering, Heirloom などDAC領域の先行企業。ただしSpiritusは統合エネルギーインフラににより差別化
  • パートナー:Prometheus Hyperscale(ハイパースケールデータセンター向け非消費型水冷システム)、Casper CarbonCapture(炭素隔離)と提携し、ワイオミング州にて最大規模のデーターセンター向けインフラ開発を発表

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