注目ベンチャー紹介:Slice

Written by Yusaku Masunaga

今回の注目ベンチャーの紹介はSliceです。
Sliceは「借金ではなく貯蓄で旅をする(Save Now, Travel Later)」という新しい支払い体験を提供する、旅行業界における決済インフラの構築を目指しています。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

Slice

https://www.slicegroup.co/

サービス/プロダクト概要

旅行業界における決済インフラを再構築する垂直統合型ペイメントプラットフォームを構築しています。「借金ではなく貯蓄で旅をする(Save Now, Travel Later)」という新しい支払い体験を消費者に届けることを目指しています。従来のクレジットカードやBNPL(後払い)モデルのように「借りて支払う」のではなく、旅行を前提に事前に分割で支払う仕組みを提供します。

主力プロダクトは次の2つです。
Pay Later Travel:消費者向け(D2C)プラットフォーム。ユーザーは航空券をデポジットで確保し、出発前までに分割払いで完済する。
Slice Pay:旅行代理店・航空会社向け(B2B/B2B2C)決済インフラ。旅行業者が自社顧客に「事前分割払いオプション」を提供できる仕組み。

旅行支払いを信用リスクではなく「意図的な貯蓄行動」として再定義することを目指しています。

同社HPより

特徴・提供価値

  • 借金ではなく貯蓄に基づく支払いモデル:消費者にとっては無債務であり、信用調査や利息などのリクスがない。途中で支払いを止めてキャンセルも可能。
  • 行動経済学と資金効率の両立:消費者は前項で示したように低リスクで旅行を計画できる。旅行事業者にとっては、支払い完了率の高い低リスク客の獲得が可能。
  • 垂直統合:支払い管理、在庫予約、旅行API、顧客エンゲージメントを一体化。従来分断されていた「決済」「予約」「リスク管理」のレイヤーを1つのプラットフォームに統合。

ビジネスモデル

「前払い分割モデル × SaaS型決済プラットフォーム」を組み合わせた収益構造を採用しています。

  • トランザクションフィー:各予約ごとに旅行代理店・航空会社から決済手数料を徴収。
  • パートナーライセンス/API提供:Slice Payを通じ、旅行代理店が自社チャネルに分割決済機能を組み込む際の利用料。
  • 顧客預かり資金の管理によるキャッシュフロー最適化:旅行完了前の分割支払いを預かり運用することで、低リスクなキャッシュモデルを構築。

このモデルは、従来のクレジットベースの旅行BNPLに比べて、信用リスクが極端に低く、キャピタル効率が高いことが特徴です。

なぜ今この会社なのか

  • BNPLやクレジットカードが普及する一方で、若年層や信用スコアが低い層は依然として利用しづらいという信用モデルの限界
  • 近年、消費者は「支出の意図」を重視し、サステナブルで計画的な支払い方法を求め始めているという文化的転換
  • 既存の銀行やBNPLでは扱えない「高意図×長期支払い」の領域を補完し、旅行だけでなく教育・イベント・ブライダルなどの領域への拡張も視野

顧客・競合・パートナー

  • 競合
    • 旅行BNPLプレイヤー:Uplift、Fly Now Pay Later、Zipなど
    • 一般BNPLプラットフォーム:Affirm、Klarna、Afterpayなど
    • クレジットカード会社/旅行ローン企業:従来型の「債務ベース」モデル
  • パートナーは、旅行代理店・航空会社、地域金融会社など。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

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