注目ベンチャー紹介:Safire

Written by Ryo Takei

今回の注目ベンチャーの紹介はでSafire Technology Groupです。
Safireは、リチウムイオン電池の安全性を高める先進材料技術を開発するスタートアップです。独自のせん断増粘添加剤技術により、衝撃時に電解質を瞬時に液体から固体へ変化させ、バッテリー火災や爆発を防ぐソリューションを提供しています。

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

Safire Technology Group

https://www.safire.co/

サービス/プロダクト概要

  • Safireのコア技術は、米国エネルギー省オークリッジ国立研究所(ORNL)の研究成果に基づく、リチウムイオン電池用のドロップイン型せん断増粘添加剤です。
    • 仕組み:液体電解質にシリカナノ粒子を分散させたダイラタント流体(非ニュートン流体の1つ)の特性を利用。通常時は液体だが、EVの衝突や弾丸のような高エネルギー衝撃を受けると瞬時に固化し、内部短絡を防ぎます。
    • 導入の容易さ:既存の電池製造プロセスに容易に組み込めるドロップイン方式。新しい生産設備を必要とせず、セルメーカーにとって導入コストが低いのが特徴。
    • 適用領域:EV用バッテリー、防衛用途などの過酷環境下の電源、防弾バッテリー技術、さらには軽量な衝突保護を必要とする次世代モビリティなど。

出典:Safire Technology Group Webサイト

特徴・提供価値

  • せん断増粘により瞬時の固化:ダイラタント流体の特性により、衝撃が加わるまでは液体として機能し、衝撃が加わると固体化してバッテリーの破損や変形を防ぐ。ダイラタント流体は一般に、液体と固体粉末粒子の混合物でバイク用プロテクターや防弾ベストなどへの応用に向けた開発が行われている。
  • 発火・爆発防止:短絡や熱暴走を抑制し、特にEV事故や軍用装備品など衝撃リスクの高い領域での安全性を飛躍的に向上させる。
  • 軽量化と性能向上:従来の物理的シールドや重い保護カバーを不要にし、バッテリーシステム自体を軽量化、重量あたりのエネルギー密度の向上を可能にする。
  • 特殊分野での拡張応用:バッテリー自体が「耐衝撃機能」を持つことで、従来不可能だった新しい電池の使い方(防衛装備や次世代モビリティ、特殊環境での搭載)が可能。

Safireのせん断増粘電解質技術 概要(出典:同社Webサイト)

ビジネスモデル

  • 電池メーカー/OEMへのライセンス提供:既存製造ラインに同社のせん断増粘添加剤を組み込み、量産化を進める。
  • 材料サプライヤーとの協業:パートナーとセパレーターや電解液といった他部材との統合最適化を進める。
  • 政府・防衛向け契約:アメリカ国防総省とのプロジェクトなどで特定仕様のバッテリーシステム開発を実施。

なぜ今この会社なのか

  • EV普及と安全規制強化:世界的にEVの台数が急増する一方、バッテリー火災事故は深刻な社会課題となっており、安全性を担保する技術への需要が高まっている。
  • 新たなアプリケーションへの統合:過酷環境下でのエネルギー利用に耐えられる軽量・安全・高耐久な電源が求められており、多機能ボディアーマーなどバッテリーの新たな戦略的用途を開拓。

顧客・競合・パートナー

  • 顧客:自動車OEM、電池メーカー・材料サプライヤー、防衛機関、政府関連インフラ事業者
  • 競合South 8(液化ガス電解質)、Adden Energy(固体電池)、Amprius(シリコンアノード×航空宇宙)などバッテリー安全・材料分野の新興企業
  • パートナー:米国エネルギー省オークリッジ国立研究所 ORNL(Oak Ridge National Laboratory)技術基盤となる研究開発パートナー

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