注目ベンチャー紹介:Runsafe Security

Written by Yuhei Yano

今回の注目ベンチャーの紹介はRunsafe Securityです。

組み込みソフトウェアのセキュリティプラットフォームを提供しています。

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

Runsafe Security

https://runsafesecurity.com/

サービス/プロダクト概要

  • RunSafe Securityは、組込みソフトウェアやファームウェアの実行時保護を実現する「*非侵襲型のセキュリティプラットフォーム」を提供。
  • 主力製品は以下の3つ:
    • Identify:SBOM(Software Bill of Materials)の自動生成とリスクスコアリング
    • Protect:関数単位のランダム化を行うLFR(Load-time Function Randomization)による攻撃防御
    • Monitor:実行中クラッシュの原因をリアルタイム解析
  • 「*非侵襲型セキュリティ」とは?
    • 技術的非侵襲性
      ソースコードやビルド設定を一切変更せず、すでに完成したバイナリに対してセキュリティ処理を行う
      → レガシーコードや市販ソフトウェアにも対応可能
    • 運用的非侵襲性
      システムの性能・安定性・認証に影響を与えずに導入できる
      → 自動車・航空・医療機器など、変更に慎重な領域でも実用可能
    このアプローチにより、パフォーマンス劣化なし・再認証不要・サプライチェーン全体へのスムーズな導入が実現できる。

特徴/提供価値

  • バイナリ実行時に関数をランダム配置する技術(LFR:Load-time Function Randomization)」を利用
  • これは従来のアドレス空間ランダマイズ(ASLR)より粒度が細かく、リターンオリエンテッドプログラミング(ROP/関数メモリを攻撃する))などの高度な攻撃を根本的に防ぐ。さらに、
    • ソースコードやCI/CDに手を加えることなく導入可能
    • ファームウェアやレガシーソフトにも適用できる
    • 軽量で性能劣化がなく、組込み環境にも対応
    といった実運用上の利点が大きく、現場導入のハードルが低いのが特長
  • さらに、SBOM自動生成やクラッシュ解析などの補助機能も含め、予防・検知・対応のすべてを非侵襲的に提供可能
画像出所:同社Webページ

ビジネスモデル

  • 航空宇宙、防衛、自動車、医療機器、産業オートメーション分野のOEMおよびTier1/2が含まれ、セキュリティの重要性とレガシー資産の両立の必要性が高い分野に特化したB2Bモデル
    • SaaS/PaaS型ライセンス:IdentifyやMonitor機能はクラウド/CIパイプライン連携を想定
    • オンプレミス/エアギャップ対応:防衛・産業機器向けにローカル実行環境も提供
    • オープンソース強化パッケージ:主要OSS(glibc、BusyBox等)を事前にハードニングした状態で提供

市場動向・なぜこの会社なのか?

  • 市場背景
    • 自動運転やIoT化の進展により、ソフトウェアが物理安全に直結する時代
    • 米DoDやNISTによるSBOM義務化やゼロトラスト推進
    • 航空・防衛・自動車でのリモート脆弱性への注目が急上昇
    なぜRunSafeなのか?
    • ソースコード不要/性能劣化なし/全体ライフサイクル対応
    • 規制対応・再認証が厳しい業界(車載、軍用、医療)でも導入可能
    • エージェントレス(実行中に特別な常駐プログラムは走らせない)・コード改変不要のランタイムセキュリティは希少

顧客・競合・パートナー

  • 顧客:
    • 自動車、医療機器、軍事、宇宙関連企業
  • パートナー:
    • Lockheed Martin Ventures、BMW i Ventures、In-Q-Tel(米国情報機関の投資部門)などが出資
  • 競合:
    • Morphisec:ランタイム保護(実行中の保護)。エンタープライズフォーカス。組み込みは注力せず
    • Anchore:SBOM管理と脆弱性分析、CI/CD連携に強み。一方でランタイム防御なし。
    • GrammaTech:静的解析、コード品質分析など開発時支援。一方でバイナリ防御なし
    • Fortanix:TEEベース暗号環境で動作。ハードウェア依存が強い。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

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