注目ベンチャー紹介:proteanTecs
2025
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Written by Hiroaki Kawada
今回の注目ベンチャーの紹介はproteanTecsです。
proteanTecsは、半導体チップ内部を可視化するオンチップ・テレメトリ(On-Chip Telemetry)を提供するスタートアップです。
*オンチップ・テレメトリとは、半導体チップの中に小さなセンサー(IP)を埋め込み、そのデータをクラウドで解析してチップの状態を見える化する技術
proteanTecs
サービス/プロダクト概要
- proteanTecsは、半導体チップ内部を可視化するオンチップ・テレメトリ(On-Chip Telemetry)を提供
- チップ内に埋め込むIPセンサーで、遅延・温度・マージンなどを常時計測
- 取得データをクラウド解析(AIモデルで異常検知・信頼性スコア化
- 設計〜量産〜フィールド運用(=データセンターやEVの監視)まで、電子機器の“健康状態”を見える化
- → EDAツールやテスト装置では把握できない「実働中の劣化・変動」をリアルタイム監視できる


特徴/提供価値
- Deep Data:電気的マージン・温度・リーク電流など多次元パラメータを取得
- One Language:設計・製造・運用データを統合解析
- At Test & In-Mission:量産中+稼働中どちらでも測定可能
- 効果:
- 歩留まり最適化・RMA最大20%減
- 消費電力8〜14%削減(データセンター運用など)
- 寿命18%延長
- 新製品開発25%短縮
*RMA(Return Merchandise Authorization)とは、出荷後に不具合が発生した製品を顧客がメーカーに返品・交換するプロセス。半導体業界では、RMAは「出荷後に故障したチップの率(返品率)」を指すKPIとして使われ、この率が低いほど製品品質と信頼性が高いとされる。
ビジネスモデル
- Chip 内の検査IP+SaaSハイブリッド
- 収益構造:1案件のLTV=約$5M以上
- Integration:初期導入(約$0.5M)
- Production:製造SaaS(年$1〜2M)
- Field:運用SaaS(年$2〜3M)
市場動向・なぜこの会社なのか?
- 3nm世代以降、製造コスト>$500M/チップ、AIサーバ電力160%増(’25見込み)
- 製造コストについては歩留まり・信頼性課題が経営リスク化
- 消費電力の増大によりChip単位のより詳細なデータを用いた電力マネジメントのニーズも見え始めている
- proteanTecsは唯一、製造→実装後の運用を貫くモニタリングプラットフォーム
- 「EDA後」「DFT後」のポジションを独占、Synopsys SLMやPDF Solutionsよりも後工程寄りで稼働中データを扱う点が差別化
*EDA(Electronic Design Automation)とは、チップ設計を支援するソフトウェア群で、回路設計から検証までを自動化
*DFT(Design for Testability)とは、製造後にチップ内部をテストしやすくするための設計手法
顧客・競合・パートナー
- 顧客(候補含む): Hyperscaler(AWS, Meta等)、Big Semi(NVIDIA, AMD, Marvell, Intel等)、Tier1 OEM
- パートナー(顧客含む):Cadence、Siemens、Advantest、TSMCなど
- 競合:Synopsys SLM、PDF Solutions、Moortec(Arm)、将来的には各社内製のオンチップ・テレメトリ