注目ベンチャー紹介:Orbital Materials

Written by Yuhei Yano

今回の注目ベンチャーの紹介はOrbital Materialsです。

同社は独自の生成AIモデル(Orb)を活用した材料設計に加え、Labプラットフォーム、顧客導入支援サービスを一気通貫で展開しています。

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

Orbital Materials

https://orbitalmaterials.com/

サービス/プロダクト概要

  • 生成AIモデル「Orb」+自動化されたLab(実験ラボ)+現場導入支援を組み合わせ、材料の設計・合成・評価・商用化を驚異的なスピードで回す「マテリアルズ・エンジン」を構築しているスタートアップ
  • このプラットフォームから生まれる最初の応用先が、データセンター冷却および炭素除去技術
    代表的な製品は以下の通り:
    • Two-Phase Direct-to-Chip Cooling:次世代GPUの冷却課題に対応する二相直冷ソリューション
    • Dual Use Chiller:冷却と同時に水やCO₂を回収する、持続可能性重視の次世代チラー

特徴/提供価値

  • 独自の生成AI(Orb):
    • 大規模データセット(OMat24、MPTrj等)で学習
    • 構造最適化、物性予測、スケーラビリティ検証を高速化
    • 従来数年かかる材料探索を数ヶ月レベルに短縮
  • Labプラットフォーム
    • 合成・スクリーニングを自動化し、AIの予測を即座に検証
    • 実験データが再びモデル学習にフィードバックされ精度向上
  • 導入支援
    • 発見した材料を用いた部材・システムをパートナー企業が開発し顧客の現場に統合
    • 設計・施工・運用まで一気通貫で支援、ROIを明確化
    • Labプラットフォーム&導入支援:Forward-DeployedEngineering(FDE)思想に基づき、生成AIで予測されたデータに顧客のデータを組み合わせプロセス検証を小さな単位で導入を見据えた実証を高速に実施
  • このように「AI× 実験×実装」ループが回ることで、市場適合した製品を短期開発し続ける能力がOrbitalの最大の差別化要因
画像出所:同社Webページ

ビジネスモデル

  • IPとデータを核にしたアセットライトモデルを採用
  • 開発:AI・ラボで生まれた材料設計ノウハウとデータは社内に蓄積
  • 製造:BASFやVertivなどOEMに委託(Build-to-Order)、在庫リスクを最小化
  • マネタイズ:
    • ハードウェア売上(初期CAPEX)
    • 高粗利消耗品の継続収益(保証維持条件付き)
    • 設計・統合サービス課金(初期前払)
  • この結果、運転資本ゼロ/高いキャッシュ変換率を実現しながら、プラットフォームへの再投資で次の材料探索・応用開発を加速

市場動向・なぜこの会社なのか?

  • AIの爆発的普及により、データセンターは「電力・冷却・水・炭素排出」という制約に直面。従来のサプライチェーンでは数年単位の開発サイクルがネックとなり、ハイパースケーラーは即応できるパートナーを探している。同社は次の理由で注目されている
    • 圧倒的なスピード:材料設計から現場実装までを短期で回せる
    • AI時代の課題に直結:GPU密度、電力制約、炭素削減といったホットテーマを解決
    • 標準化の可能性:NVIDIAの1GWAI Factory参照設計、AWSGreenfield DC導入計画など、業界標準になり得るポジションを獲得

顧客・競合・パートナー

  • 顧客:
    • ハイパースケーラー
    • クラウド事業者
  • パートナー:
    • 化学メーカー
    • 部材メーカー
    • EPC
  • 競合:
    • CuspAIほか
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

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