注目ベンチャー紹介:mixx technologies

Written by Hiroaki Kawada
今回の注目ベンチャーの紹介はmixx technologiesです。
mixx technologiesは、次世代AIデータセンター向けに、GPU同士やHBMとを直接光信号接続をする超高速・低消費電力の光インターコネクト及びそれを統合するプラットフォームを開発している企業です。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

mixx technologies

https://mixxtech.io/

サービス/プロダクト概要

  • mixx technologiesは、次世代AIデータセンター向けに、超高速・低消費電力電力の光インターコネクト及びそれを統合するプラットフォームを開発している
  • 主力製品は図1に示す二つ
  • 1.「mXo」は、GPUやCPUチップに直接組み込み可能な光エンジン。これにより、チップから外部への超高速・超低遅延なデータ送受信(光I/O:Input/Output)が可能になる
  • もう一つ、2.「mXswitch」は、データセンター内で大量の通信をさばく光クロスバースイッチ多数のGPU・CPUを光のまま自由につなぎ替え、データフローを最適化し、超大規模クラスタの高速通信を支える
  • Mixxはこの光エンジン+光クロスバーの組み合わせで、次世代AIインフラの「超高帯域」「低レイテンシ」「省電力化」という課題を解決する

  • 光エンジンは以下の部品から構成される
  • 1.レーザー光を4つのチャネルに分割する素子
  • 2.高密度に最適化されたチャネルレイアウト設計
  • 3.224Gbps動作のマッハツェンダ変調器(信号を光で変調する)
  • 4.高速ゲルマニウム光受信器
  • 5.外部レーザー光源(External Laser Source)
  • 6.内蔵自己診断(BIST)機能
  • 7.結合損失2dB以下の高効率光結合インターフェース
  • 8.レーザー光を4つのチャネルに分割する素子
図1:mixx techの製品イメージ

特徴/提供価値

  • 従来の光モジュール(エンジン、クロスバースイッチ)は、レーザーや受信器が大量の電力を消費し、通信速度が上がるほどデータセンターの冷却・電力コストが急増する問題を抱えてる
  • また、GPUとメモリのなどを接続する電気通信及び銅配線は100Gbpsを超えると信号劣化と熱損失が顕著になり、今後1台あたり2Tbps超、システム全体で数十Tbps級の通信が必要となるAIクラスタでは、もはや銅配線及び電気での通信が実用的でなくなり、大容量通信でも損失の少ない光通信をGPUなどのChip近傍でおこなう設計を各社検討している
  • mixx techの光モジュールは光の広帯域と低消費電力を両立し、通信量が爆発しても電力コストを抑えGPUクラスタの無理ないスケールアップを可能にする
  • 例として以下の図2のように1つのルーターに32個のプラガブルコネクターを一つのチップにまとめて12.8Tbpsの通信を可能にすると示している
  • また図3のように他社Co-Packaged Optics(CPO)よりもXPUにより近い箇所で光通信をおこなうことでCPOの競合他社よりも消費電力を50%以下としている
図2:mixxの光エンジンのイメージ図
図3:他XPU近傍の通信技術との性能比較

ビジネスモデル

  • 自社で設計→TSMCなどのファウンドリで製造し、製品販売(光モジュール供給)と技術ライセンス収入を両立する。また、SuperMicro(NVIDIAに冷却素子を供給、Foxconn(EMS,部品の最終組み立て等)などと連携して、最終システムへの組み込み展開も進めている

市場動向・なぜこの会社なのか?

  • mixx technologiesの光エンジン(mXo)とクロスバー(mXswitch)は、単なる通信性能だけでなく、既存の半導体サプライチェーンに無理なく統合できる設計をとそれを実現できるパートナーシップやパイプラインを強みとしている
  • 通常、先端光モジュールを組み込もうとすると、パッケージ工程やサーバー組立工程を大きく変える必要があり、製造コストや歩留まりリスクが急増するのが課題であった
  • しかしMixxは、光エンジンを標準CoWoS-Lプロセスにそのまま組み込める設計にし、
  • 光モジュール単体で事前にテスト(COW Optical Test)できる工程を確立、
  • 最後にXPU(GPU/CPU)やHBMを実装する「後付けプロセス」を採用することで、光モジュールの不良リスクをチップ全体に波及させず、製造歩留まりを大幅に向上させている
図4:Mixx techの光エンジンのインテグレーションフロー
  • このプロセスと構造はMixx独自のものであり、7件のコア特許(出願中)によって保護される。技術概要は例えば以下3点である
  • 1.シリコンフォトニックブリッジ構造
  • 2.光インターコネクトの量産実装技術
  • 3.エポキシフリー光統合技術

  • Mixx techは2023年の創業ながら世界最大級のサーバーメーカーやクラウド事業者との連携を加速できるポジションを築きつつある
  • 創業メンバーはIntelでシリコンフォトニクスを量産化、Corningでハイパースケーラー向けに光ファイバーを展開、Rockley Photonicsでデータセンター向けのCo-Packaged Optics(CPO)のプロトタイプを開発し、BroadcomでCPOを製品化した実績を持つ

顧客・競合・パートナー

  • 顧客(候補):NVIDIA, AMD, Intel, Google, AWS, Microsoft
  • パートナー:Ansys, Cadence, TSMC, SPILE, ASE, Corning, Senko, Molex, Supermicro, Amkor
  • 競合:Ayar Labs, Broadex Tachnoligies, Ranovus, Lightmatter, Celestial AI, Enosemi
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