注目ベンチャー紹介:Lux Semiconductors
2025
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10
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08

Written by Hiroaki Kawada
今回の注目ベンチャーの紹介はLux Semiconductorsです。
Lux Semiconductorsは、半導体パッケージのコア部分に金属を用いた「Smart Metal Core Substrate」技術を開発する米国のスタートアップです。従来、パッケージ基板の中心部(コア素材)はポリマーやガラスが主流でしたが、Luxはこれを金属に置き換えることで、大面積チップ対応・放熱性・信号品質の向上を図っています
Lux Semiconductors
https://www.luxsemiconductors.com/
サービス/プロダクト概要
- Luxの「Smart Metal Core」は、金属コアをベースとしたパッケージ基板技術です。独自のThrough-Metal Via(TMV)プロセスでは、まず金属のコアそのものから製造を始め、ビアの内壁をガラスなどの絶縁体でライニング(被覆)し、その内部に銅などの導体を形成することで、金属中でも確実な電気絶縁を保ちながら信号・電力を通す経路を実現している
- この構造により、コア内の金属含有量を最大化しつつ、絶縁性・信号品質・熱伝導性・機械強度を同時に確保することができる。結果として、複数GPUや大容量メモリを搭載する大面積パッケージへの対応が可能となり、AI向け半導体のパッケージ設計に新たな選択肢を提供する


特徴/提供価値
- 反り(Warpage)低減:高剛性により、大面積パッケージでも基板の反りを抑制
- 熱性能の向上:金属の高い熱伝導性により、チップの発熱を効率的に拡散
- 信号品質の向上:「同軸TMV」によってクロストークを抑制し、高速信号伝送に対応
ビジネスモデル
- Luxは金属コア基板の製造・供給に特化し、完成品の基板をサブストレートメーカーに提供する
- メーカーはその上に配線層やチップ実装を行い、完成パッケージとして出荷
- 政府機関や大手防衛企業との共同開発も進めており、複数の試作・検証プロジェクトが進行中
市場動向・なぜこの会社なのか?
- AIサーバー向け半導体では、チップサイズの大型化と高出力化が進み、従来のポリマー・ガラス基板では反り、放熱、電力供給に課題が生じている
- Luxの金属コアは現在は米国内でパワーモジュールのユースケースなどをきっかけにデータセンター向けでも注目されつつある
- Luxは先行して量産対応の技術開発(基板サイズの大型)の検討を始めている
顧客・競合・パートナー
- 顧客: AIチップメーカー、HPCシステムベンダー、防衛関連企業
- パートナー(顧客含む):Calumet、Lockheed Martin、DARPA、US Airforceなど
- 競合:有機コア-Resonac, MGC ガラスコア-Corning, SCHOTT, AGC, HOYA