注目ベンチャー紹介:Hanomi

Written by Yuhei Yano

今回の注目ベンチャーの紹介はHanomiです。

同社は3D CADデータから製造用の2D技術図面をAIで自動生成するスタートアップです。

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

Hanomi

https://www.hanomi.ai/

サービス/プロダクト概要

  • SOLIDWORKS、NX、Creo、CATIA、STEPなど幅広いCADフォーマットに対応し、GD&T(Geometric Dimensioning & Tolerancing:幾何公差)を含む“production-ready”な図面を数分で生成できる点が特徴。
  • 従来、機械設計では3D CADモデルを作成した後、製造現場向けに2D図面を人手で作成する必要があり、ここに大きな工数と属人的ノウハウが存在していた。Hanomiはこの工程をAIで自動化し、エンジニアは最終レビューと承認に集中できるワークフローを提供する。
  • また、単なる図面生成だけでなく、既存図面の標準準拠性をチェックする「Drawing Checker」や、2D図面からパラメトリック3Dモデルを生成する機能なども展開しており、将来的には設計・製造データを横断的に扱う“製造インテリジェンス基盤”を目指している。

画像出所:同社Webページ


特徴/提供価値

1. 3D→2D図面作成を20倍高速化
  • Hanomiは3D CADモデルをアップロードし、部品機能や製造プロセスに関する情報を入力することで、GD&T付きの2D図面を自動生成する。
    従来は数時間〜数日かかっていた図面作成を数分に短縮できるとしており、「20x Faster」を掲げている。これは単なる作図自動化ではなく、寸法、公差、断面図、詳細図、assembly contextまで含めた“製造可能な図面”を出力できる点が重要である。
2.Human-in-the-loop型AI
  • 「AIが全てを置き換える」アプローチではなく、AIが反復的作業を担い、エンジニアがレビュー・承認を行うHuman-in-the-loop型を採用している。
  • 機械設計ではGD&Tや公差の誤りが重大な製造不良につながるため、完全自動化よりも、“AIによる初稿生成+人間による最終判断”の方が現実的であり、導入障壁も低い。
3.CAD非依存のクロスプラットフォーム性
  • SolidWorks、NX、Creo、CATIA、Autodeskなど複数CADに対応しており、PLM/PDMとも連携可能である。
  • 製造業では企業・部門ごとに異なるCAD環境が混在しているため、このCAD非依存性は大きな差別化要因となる。
4.セキュリティ・オンプレ対応
  • Cloudだけでなくオンプレミス導入にも対応し、顧客データは処理後即時削除、顧客許可なしでは学習に利用しない方針を掲げている。
  • 特に日本の大手製造業では設計データが極めて重要なIPであり、この点はエンタープライズ導入における重要な条件となる。

ビジネスモデル

  • サブスクリプション型のSaaSモデルを採用している。
  • まずは「3D→2D図面生成」を入り口として顧客に導入し、その後、顧客固有の設計自動化や標準管理、品質管理などへ拡張していくLand-and-Expand戦略を取っている。
  • 例えば、CTスキャン装置メーカー向けにリニアアクチュエータ設計の一部を自動化するなど、顧客固有の設計ワークフロー自動化にも展開している。
  • また、Fictiv/Xometry のようなオンデマンド製造・部品流通プラットフォーム向けには、Hanomiを裏側に組み込むホワイトラベル/OEMモデルも成立する可能性が高い。
  • 長期的には、図面生成だけでなく、
    • Drawing Checker
    • 社内標準管理
    • PLM/PDM連携
    • 製造・品質データ連携

などを含めた“Engineering Intelligence Platform”へ進化する可能性がある。

市場動向・なぜこの会社なのか?

1.製造業のボトルネックは依然「2D図面」
  • 近年、MBD(Model-Based Definition)やPMI(Product Manufacturing Information)の普及により「2D図面不要論」も語られている。
  • しかし実務では依然として、サプライヤー、検査、品質保証、加工現場では2D図面が標準的に利用されている。
  • 特にGD&Tや公差情報は、依然として人間が2D図面に落とし込むケースが多く、この工程が大きなボトルネックになっている。
  • この“設計→製造変換”部分を狙っている点が重要である。
2.AI CAD市場の立ち上がり

  • Generative AIの進展により、CAD領域でもAI活用が急速に進み始めている。
  • 市場には、
    • DraftAid
    • AIDraft
    • CAD Copilot系ツール
  • なども登場しているが、多くは寸法配置や作図補助に留まる。
  • 一方、HanomiはGD&Tやassembly contextまで踏み込み、「製造可能な図面」を生成しようとしている点で、より深いドメイン課題に取り組んでいる。
3.なぜ今Hanomiなのか?
  • Hanomiの面白さは、単なる「図面生成AI」に留まらず、将来的に“設計意図と製造実績をつなぐレイヤー”になり得る点にある。
  • 例えば、MES(Manufacturing Execution System)と組み合わせると
    → HanomiでGD&T付き図面生成
    → MWSで製造実績・品質データ取得
    → 不良・歩留まりデータを設計へフィードバック

というClosed-loop Manufacturingが成立する。

これは、設計と製造が学習し合う新しい製造データ基盤の可能性を示している。

顧客・競合・パートナー

  • 顧客:
    • ロボティクス
    • 産業機械
    • 半導体
    • 自動車
  • 競合:
    • 直接競合としては、などのAI図面生成系企業が存在する。
      一方で、長期的な最大リスクはAutodesk、Dassault Systèmes、Siemens NXなど大手CADベンダーによるAI機能内製化である。Hanomiは、
      • CAD非依存
      • cross-platform layer
      • GD&T/製造知識
      • 設計〜製造データ連携
      を差別化要因としている
  • パートナー
    • Xometry, Fictiv等の製造受託モデル企業
    • MESプレイヤーなどが考えられる
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

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