注目ベンチャー紹介:Govly
2025
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06
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Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はGovlyです。
米国の政府調達市場に特化したクラウド型ソフトウェアプラットフォームで、企業が連邦政府や自治体(SLED)との取引案件(RFP/RFQ)を効率的に発見・管理・提携できる環境を提供しています。
Govly
サービス/プロダクト概要
- 国の政府調達市場に特化したクラウド型ソフトウェアプラットフォームで、企業が連邦政府や自治体(SLED)との取引案件(RFP/RFQ)を効率的に発見・管理・提携できる環境を提供
- 特に、GWAC(Government Wide Acquisition Contracts)やIDIQ(Indefinite Delivery / Indefinite Quantity)といった非公開・限定的な調達案件の可視化に強みを持ち、政府向け販路を持つSaaS・ITベンダーから高く評価されている
特徴/提供価値
- SAM.gov非掲載の案件可視化
NASA SEWPやNIH CIO-SPなど、限定契約(GWAC/IDIQ)内で通知されるクローズドな案件情報を収集・構造化し、広範囲な案件把握を実現。 - Teaming Boardによる提携支援
GWAC契約を保有していない企業でも、Govly上のTeaming Board機能を通じて契約ホルダー企業と提携し、共同応札が可能に。 - AIによる案件要約・マッチング
AIが案件の要点を自動でサマリー化し、SalesforceなどのCRM連携も可能。営業・BD部門の生産性を大幅に向上。 - セキュリティ&共有コントロール
投稿案件の共有範囲を「社内限定」「特定パートナー」「全体」から選べ、NDAやITARといった制約にも対応可能な柔軟な機密管理設計

ビジネスモデル
- SaaS(月額・年額)を基本とし、以下の顧客群をターゲットにプラン提供
- 再販業者(VAR)
- OEM(例:Cisco, HPE)
- SIerやMSP(Managed Service Provider)
- 中小の8(a)/SDVOSB認証ベンダー
- 連邦市場参入を狙うスタートアップ
- さらに、案件共有/提携支援機能を通じたネットワーク形成により、プラットフォーム上の“案件流通総量”を増やし、ネットワーク外部性を促進。エンタープライズ契約の拡大にもつなげていく計画。
市場動向・なぜこの会社なのか?
- 米国の政府向けIT市場は、年間1.2兆ドル以上の支出が見込まれ、そのうちクラウド・ソフトウェア関連支出だけでも500億ドル超。特に近年は以下の要因で成長が加速:
- 行政のDX促進(電子化・AI活用・クラウド移行)
- 契約の細分化(GWAC/IDIQ、マルチベンダー方式)
- セキュリティ要件強化(CMMC、NIST対応
- こうした状況下で、「SAM.govだけでは案件が追いきれない」「プライマリー契約がない企業は参入障壁が高い」という課題が顕在化
- Govlyはこの“見えない案件空間”を可視化し、案件マッチングと提携形成をサポートすることで市場に新たなアクセス性を与えている
顧客・競合・パートナー
- 顧客:
- Cisco(OEM)
- HPE(OEM)
- Red River(SEWP契約ホルダー)
- Carahsoft(再販最大手)
- パートナー:
- GWAC/IDIQ契約を持つ企業(例:Red River, DLT, Four Inc)
- Salesforce、Slack、HubSpotとのCRM統合
- 競合:
- GovWin (Deltek):老舗のRFP/RFI可視化SaaS。大手SIや政府案件に強み。一方で、GWAC/IDIQの非公開案件への網羅性・提携機能でGovlyに劣る
- BidPrime:リアルタイム入札アラート、統計分析が得意。一方で、パートナー提携やエコシステム連携なし
- OpenGov:予算・財務分析SaaS。市町村(SLED)特化。一方で、調達案件のRFP/RFQ機能、AIにより抽出機能などはない