注目ベンチャー紹介:Ferric
2026
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04
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Written by Hiroaki Kawada
今回の注目ベンチャーの紹介はFerricです。
Ferricは、半導体チップ近傍に電源機能を統合するIntegrated Voltage Regulator(IVR)技術を中核に、AI/HPC向けの電力供給のボトルネックを解消する電源ソリューションを提供する企業です。特に、薄膜磁性材料を用いた高電流密度・高効率な電源ICにより、従来のボードレベル電源設計をチップ近傍へと再構成するアプローチを取っています。
Ferric
サービス/プロダクト概要
- Ferricは、制御回路・FET・インダクタ・キャパシタを単一チップに統合したIVR(Integrated Voltage Regulator)を提供
- 従来のディスクリート電源と異なり、電源をパッケージや基板内に統合できる構造
- 高電流(最大160A)・高電流密度(~4.5A/mm²)・高効率(~90%以上)を実現

特徴/提供価値
- コアは薄膜磁性材料によるオンチップ電源統合技術
- インダクタを含む電源回路をCMOSプロセス上に統合することで、従来の電源モジュールを大幅に小型化
- 電源をチップ近傍(パッケージ内)に配置することで、電源供給ループを短縮
- 従来のボードレベル電源では、配線損失や応答遅延が課題だったが、Ferricはこれを構造的に解消結果として、電力損失削減、電圧マージン縮小(=性能向上 or 消費電力削減)、高密度実装が可能になる

ビジネスモデル
- IVRチップの製品販売+ライセンス収益
- AIチップメーカーやハイパースケーラーへの直接販売モデル
- 顧客ごとに設計・実装支援を行いながら採用を進める(設計イン型)
- TSMCパートナーシップを活用したスケーラブルな製造体制
市場動向・なぜこの会社なのか?
- AIチップの消費電力は300W → 1000W超へと急増する一方で、フォームファクタは変わらず、電源供給が性能制約になっている
- 電圧低下に伴う電流増大により、従来のボード集中型電源では配線損失・応答遅延・電圧変動が顕在化
- Ferricは電源をチップ近傍に分散配置することで、電源ループ短縮・電圧マージン削減・高速応答を実現
- また電源分散は熱分散にも寄与し、ホットスポット抑制と冷却設計の自由度向上につながる
顧客・競合・パートナー
- 顧客:AIチップメーカー、クラウド(ハイパースケーラー)
- パートナー:TSMCなどファウンドリ
- 競合:Vicor、Infineon、MPS、Empower Semiconductorなど電源IC/モジュール企業