注目ベンチャー紹介:Earth Brand

Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はEarth Brands(Store)です。
同社は包装材ビジネスを“ソフトウェア化”するスタートアップです。
EarthBrands(Store)
サービス/プロダクト概要
Earth Brands(以下、Earthstore)は、飲食店向けのカップや包装資材(disposables)を提供する企業。
一見すると単なる包装材サプライヤーに見えるが、その本質は異なる。
同社は以下の3つを中核とした統合プラットフォームを構築している:
- Earth Store:顧客がオンラインで発注・在庫確認・再注文を行うフロントエンド
- Earth Central:在庫・発注・生産・配送を統合管理するERP/オペレーション基盤
- Earth Base(Kansas工場):カスタムカップの内製印刷拠点
つまりEarthstoreは、
「包装材の販売」ではなく「包装材の調達・在庫・補充を一体化したインフラ」
を提供している。

特徴/提供価値
Earthstoreの最大の特徴は、従来の業界構造を崩す以下の価値提供にある。
1.低MOQ・短納期の実現
従来:
- MOQ:10万個以上
- 納期:12〜15週間(海外生産)
Earthstore:
- 数千〜1万単位で発注可能
- 約2週間のリードタイム
これは、Kansasでの**内製印刷(print-on-demand)**によって実現されている。
2.在庫・補充の“自動化”
飲食店にとって、包装材の発注は非コア業務である。
Earthstoreは:
- 在庫可視化
- 自動発注
- 小口配送(必要な分だけ引き出し)
を可能にし、
**「週5時間の作業を5分にする」**ことを目指している。
3.カスタム×ブランディング価値
カップは単なる容器ではなく、
- ブランド表現
- SNSでの視認性
- 顧客体験
の一部になっている。
Earthstoreはこの文脈を捉え、
**“カスタムを前提とした供給モデル”**を構築している。
4.顧客行動を設計した価格モデル
単なる価格競争ではなく、
- 送料無料の閾値設定
- 保管料($1 / case / month)
- サブスク(Earth Prime)
などを通じて、
顧客の発注行動そのものを最適化している点も特徴的である。
ビジネスモデル
Earthstoreのモデルは、以下のハイブリッド構造を持つ。
1.売上構造
- Earth Store(直販)
- Distributor経由
ただし成長の中心は明確に直販側にシフトしている。
2.収益構造
収益源は複数レイヤーで構成される:
- 商品販売(カップ・蓋・ストロー等)
- カスタム印刷(マージンの源泉)
- 配送(場合により顧客負担)
- 保管料
- サブスクリプション(Earth Prime)
3.経済性の特徴
重要なのは、初回は営業、2回目以降はソフトウェア”という構造である。
- 初回契約:営業主導
- 以降の発注:99%がself-service
これにより、
- CAC回収がしやすい
- LTVが積み上がる
- オペコストが逓減する
という、SaaS的な性質を持つ
市場動向・なぜこの会社なのか?
1.巨大だが非効率な市場
飲食向け包装市場は数百億ドル規模だが、
- サプライチェーンが分断されている
- ディストリビューター依存
- デジタル化が遅れている
という構造課題を抱えている。
2.SMB市場の未開拓性
大手(Starbucks等)は最適化されている一方で、
- 2〜25店舗規模の飲食店
- 在庫スペースが限られる
- 発注の手間が大きい
といったSMBは、不便を受け入れるしかない市場だった。
Earthstoreはここを狙っている。
3.“ソフトウェア × 物流”の融合
従来は分離していた
- 製造
- 流通
- 発注
を統合することで、
新しい価値層(replenishment infrastructure)を作ろうとしている。
顧客・競合・パートナー
- 顧客:
- Starbacksなど超大手チェーンから地元のカフェまで幅広い。大手は当然価格重視、地元のカフェは価格よりデザイン性、利便性などを重視
- 競合:
- Dart, Pactivなどの大手向け、Amazon、中小メーカーなどのSMB向け
- パートナー
- サプライヤー(Asia/US)
- 物流・3PL