注目ベンチャー紹介:ChEmpower

Written by Hiroaki Kawada

今回の注目ベンチャーの紹介はChEmpowerです。
ChEmpowerは、スラリーを使わずに半導体の表面を研磨する非研磨型CMP材料(機能性パッド)を開発するサステナブル技術企業です。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

ChEmpower 

https://www.chempower-corp.com/

サービス/プロダクト概要

  • CMP(Chemical Mechanical Planarization:化学的機械的平坦化)工程向けの「非研磨型(abrasive-free)」機能性パッドを開発・販売
  • スラリー不要の「化学反応内包型パッド」で、従来のスラリー+パッド構成を一体化
  • 主力対象材料:銅、シリコン、酸化膜、モリブデン、ルテニウム等
  • 再生可能な研磨液と再利用可能な水循環を含むトリプル製品モデル
  • 300mmウェハーでの実証データあり、後工程洗浄不要を実現
図1:CMP Padの外観
図2:研磨対象のウェハのイメージ図と技術特徴

特徴/提供価値

  • スラリー不要 → スラリー管理・洗浄工程を削減し、工程コストを低減
  • 水、金属、化学物質を回収可能 → サステナブルで環境負荷が低い
  • Yield向上 → 欠陥率低減・ウェハー安定性高(WIWNU < 3%)

   WIWNU(Within-Wafer Non-Uniformity):1枚のウェハ内での膜厚や除去量のばらつき

  • 従来設備に「プラグアンドプレイ」で対応可能
  • 有害物質(BTA等)不使用でESG配慮が強み

   BTA(Benzotriazole):銅CMP用スラリーに含まれる防食剤(腐食防止化学物質)

   ESG(Environmental, Social, and Governance)

図3:スラリーあり(左)とスラリーなし(右)の研磨後の回収薬液のイメージ

ビジネスモデル

  • 「機能性パッド + 専用化学薬液 + 再生技術」のCMPプロセス材料の販売モデル
  • IPライセンス、OEM連携、装置メーカーとの共同開発も実施

市場動向・なぜこの会社なのか?

  • CMP市場全体で年間約12Bドル規模の機会(特にサステナビリティ関連で成長)
  • スラリー使用の従来プロセスは欠陥・管理コストが高く、スラリーも使い捨てのため見直し機運あり
  • ESG・水資源制約の観点からも「スラリー不要」は強い差別化要素
  • スラリー系企業と異なり、トータルコスト削減+環境貢献の両立が可能
  • NexPlanar(CMP Padの材料スタートアップでCabotが2015年に買収)創業者など豊富な業界実績あるチームによる信頼性と実装力

顧客・競合・パートナー

  • 顧客:先端ロジック・メモリIDM(Integrated Device Manufacturer)、先端Chipファウンドリ、先端半導体パッケージ企業
  • パートナー(顧客候補含む):TOP2のCMP装置メーカー:AMAT、 荏原製作所 

   既存投資家にIntel Capital、TEL CVC、Merck CVC 

  • 競合:スラリーベースのCMP消耗材料のCabot、Fujimi、Versum
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

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