注目ベンチャー紹介:AstroForge

Written by Ryo Takei

今回の注目ベンチャーの紹介はAstroForgeです。
AstroForgeは、小惑星から金属資源を採掘・精製する宇宙資源スタートアップです。特にプラチナ族金属(PGMs)にフォーカスし、地球外資源を地上のサプライチェーンに組み込むことで、従来の採掘に依存しない新たな資源供給の実現を目指しています。

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

AstroForge

https://www.astroforge.com/

サービス/プロダクト概要

  • AstroForgeは、小惑星の探査から採掘・精製までを一体化した宇宙インフラを開発しています。まず小型宇宙機を用いて金属豊富な小惑星を特定・分析し、その後、採掘および精製プロセスを宇宙空間で実行します。
  • 同社の特徴は、地上に原石を持ち帰るのではなく、宇宙空間で金属を精製してから回収する点にあります。レーザー技術を用いて小惑星物質を微粒子化し、磁気分離などの手法を組み合わせてプラチナ族金属(PGMs:Platinum Group Metals)などの有価金属を効率的に回収するアプローチを採用しています。

出典:AstroForge

特徴・提供価値

  • 小惑星という高濃度資源へのアクセス:小惑星中のプラチナ族金属は、地球上に比べて極めて高濃度で存在するとされており、プラチナの濃度は地球上の約5,000倍に達するとの推定もある。こうした高品位資源により、地球採掘を上回る回収効率と収益性を実現できる可能性がある。
  • 宇宙空間での精製による効率化(In-space refining):不要物を地球に輸送せず、宇宙で金属のみを精製・回収することで、輸送コストとエネルギー負荷を大幅に削減する。具体的には、高強度レーザーを小惑星表面に照射し、物質を超高温で蒸発させた後、微粒子として凝縮する。その後、プラチナ族金属(PGMs)は、磁気分離などを組み合わせたプロセスにより鉄やニッケルなどの他成分から分離・濃縮される。回収された有価金属は、宇宙の極限環境下でも安定性を維持する極低温保管ユニットに格納される。
  • 低コスト・高速な宇宙ミッション設計:近年の打ち上げコスト低下と小型宇宙機技術の進展を背景に、AstroForgeは低コスト・短期間での深宇宙ミッション開発を実現している。2025年には、約10カ月・約350万ドルで建造した深宇宙探査機「Odin」を打ち上げ、月以遠への到達および通信確立に成功した。同ミッションでは安定的な通信維持に課題を残したものの、宇宙機設計・運用・地上局連携に関する重要な知見を獲得しており、これらは次世代機に反映されている。次のステップとして、2026年には「DeepSpace-2」ミッションを計画しており、民間企業として初となる小惑星への到達・ランディングを目指す。

出典:AstroForge

ビジネスモデル

  • AstroForgeは、宇宙で採掘・初期精製した金属を地球へ持ち帰り、プラチナ族金属として市場に供給するビジネスを構想
    • 宇宙採掘 → 初期精製 → 回収 → 地上加工 → 販売という垂直統合型の供給モデル
    • 純度90%以上の半精製原料として回収し、最終的なインゴット化はパートナー企業が担う
    • 経済価値の高い金属(PGMs)に特化することで収益性を確保

なぜ今この会社なのか

  • 電動化やデータセンターの拡大により、プラチナ族金属やレアメタルの需要は増加する一方、地上資源は地理的・環境的制約に直面している。こうした中、打ち上げコストの大幅な低下や小型宇宙機技術の進展により、これまで非現実的とされてきた宇宙資源開発が現実的な選択肢となりつつある。実際、世界経済フォーラムは宇宙経済が2035年までに1兆ドル規模へ成長すると予測している。
  • 小惑星採掘の本格的な商業化にはなお時間を要する可能性があるものの、AstroForgeは持続可能な資源調達における新たなフロンティアを切り開く存在として注目されている。

顧客・競合・パートナー

  • 顧客:化学(材料)メーカー、自動車(触媒)企業、電子機器・半導体・エネルギー関連企業など
  • 競合:宇宙資源開発スタートアップ(TransAstraKarman+ など)
  • パートナー:再利用可能なロケット開発のスタートアップStoke Space社との提携のほか、SpaceXやNASAなど

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

こちらの記事に対するお問い合わせやMTGの依頼などはこちらのアドレスからお気軽にご連絡ください。
info@tgvp.vcTGVPは米国を中心としたスタートアップ企業とTOPPANグループの連携を推進しております。