注目ベンチャー紹介:Andes

Written by Ryo Takei

今回の注目ベンチャーの紹介はAndesです。
Andesは、農地の土壌で働く有用微生物の力を活用し、大気中のCO2を長期にわたって固定する技術を開発するクライメートテック企業です。米国カリフォルニア州に本拠を置き、作物の種子処理や植え付け時に微生物を導入することで、農業生産を維持しながら気候変動対策を同時に実現するアプローチを推進しています。

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※

Andes

https://www.andes.bio/

サービス/プロダクト概要

  • Andesは、農作物の種子処理プロセスを活用し、有用微生物を根に共生させることで、大気中の二酸化炭素(CO2)を土壌中に取り込み、鉱物として長期固定する技術を開発しています。農地に微生物を導入するだけで炭素除去が可能となり、農業生産と気候変動対策の両立を実現。固定した炭素は、検証可能な炭素クレジットとして算定され、企業向けに販売されます。

出所:Andes Webサイト

特徴・提供価値

  • CO2の長期固定:微生物の自然のプロセスにより、CO2を炭酸塩鉱物の形で土壌中に固定。炭素は有機物ではなく無機鉱物構造の一部として取り込まれるため、風化や分解によって再放出されにくく、数百〜年単位の安定固定が可能。
  • 低負荷での農地導入:微生物は常温で安定した製品として農家に無償で提供され、農家は既存の農法(種子コーティング)を 用いて農地に適用。特別な設備投資を必要とせず、既存の農業慣行の中で機能する。
  • 農地・土壌改善の副次効果:微生物の導入により土壌の水分透過性や通気性が改善されることで、土壌と作物の健全性が向上し、農家は作物収量の増加というメリットを得る。
  • 信頼性の高いMRV体制:独自の「Microbial Carbon Mineralization(MCM)」手法を一般公開し、土壌中での炭素の無機化・固定を測定・報告・検証(MRV)できる枠組みを整備。炭素固定プロセスを定量的に追跡し、第三者機関による検証を通じてデータの信頼性を確保している上、国際的に信頼性の高いGold Standardの炭素除去クレジットの認証に準拠。

出所:Andes Webサイト

ビジネスモデル

  • 農業生産者・企業とのパートナーシップを通じて微生物を無償で提供。農家は既存の農法を通じて微生物を導入し、農地を分散型の炭素除去ネットワークとして活用する。土壌サンプルは第三者の分析機関が評価し、除去された炭素は国際的な基準に準拠した炭素除去クレジットとして販売され、企業のネットゼロ戦略やカーボンオフセットの需要に応える。
  • 農家は、作物収量の増加といった農業面でのメリットに加え、クレジット販売によって得られる収益の一部を受け取ることができる。

なぜ今この会社なのか

  • 気候変動対策の中でも、大気中の二酸化炭素を直接除去する CDR(Carbon Dioxide Removal)は喫緊の課題となっており、とりわけ長期的かつ検証可能な炭素固定技術へのニーズが高まってる。Andesの技術は、農地という既存の資源を活用しつつ、微生物の自然由来のプロセスを通じて、低コストかつスケーラブルにCO2を鉱物化できるという点で、現在進む脱炭素化の潮流と整合する。

顧客・競合・パートナー

  • 顧客:農業生産者、カーボンオフセットを必要とする企業・機関など。
  • 競合:土壌における炭素固定を目的とした他のCDR企業 Eion(米国)、Lithos Carbon(米国)、UNDO(英国)、Terradot(米国)など。(いずれも鉱物散布による農地での炭素固定・風化促進技術)
  • パートナー:Cargill, Bayerなどの商業化・流通パートナー

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